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SOPHOLAのVision(目指す世界観)、Mission(果たす役割)、Values(大切にする価値観)を体現する取り組み・アイデアを発信。
SOPHOLAの雰囲気がわかるような社員の日常や想いも更新していきます。

私はAIに、答えではなく鏡になってもらった

最初は、登山のパフォーマンス分析でした。

登山後に記録した活動ログ——歩行ペース、心拍数、標高変化、休憩タイミング——をAIに渡して、「次の山行で意識すべきことを分析してほしい」という使い方をしていました。要するに、データを入力して、改善点を出力してもらう。効率的な使い方だと思っていました。

ただ、私の登山記録には、パフォーマンスデータだけでなく、その日の山行中に感じたことも書き残す習慣があって。「稜線に出た瞬間に、なぜかあの頃のことを思い出した」とか「今日は判断が早かった気がする、なぜだろう」とか。そういう感想も一緒にAIに渡していたのです。

AIはそこにも反応しました。

分析のつもりが、対話になっていた

「この感想の部分、もう少し話してもらえますか」とAIが返してくる。気づいたら、山の話ではなく、自分の判断の話をしていました。

何かを決める時に、私は無意識に「過去の自分だったらどうしたか」「この先の自分はこれを後悔しないか」という問いを頭の中で参照している。登山中の判断も、仕事の判断も、実はずっとそうやってきた。でも、それに名前はなかったし、方法論として整理したこともなかった。

AIとの対話の中で、それが少しずつ言語化されていきました。「統合知能」「内的プロトコル」「縦軸統合」——そういった言葉が、一つずつ立ち上がっていったのはこの時期のことです。

AIは何も教えてくれていなかった

振り返ると、AIは私に何も新しいことを教えていませんでした。ただ、私が話したことを整理して、構造化して、返してくれていただけです。でも、それが「鏡」として機能した。

自分の中にぼんやりとあったものが、AIを経由して戻ってくると、輪郭が少し鮮明になっている。それを受けてまた自分の中を探る。この往復の中で、30年以上無意識にやってきた内的な作業が、初めて「見えるもの」になっていきました。

この経験から生まれたのが、RIDP(Resonant Internal Dialogue Protocol/共鳴的内的対話プロトコル)という概念です。AIを「答えを出す機械」として使うのではなく、自分の内側にある判断の構造を「外から見えるようにする鏡面」として使う、という考え方です。

なぜこれが重要だと思うのか

AIに答えを求め続けると、判断の主体が少しずつ外側に移っていく。何かを決めた時に「AIがそう言ったから」という根拠しか残らない状態は、ビジネスの現場でも個人の人生でも、長期的には脆いはずです。

一方、AIを鏡として使うと、判断の主体は常に自分に戻ってくる。AIは何も決めない。ただ、自分が何を考えているかを、より鮮明に見せてくれる。

この違いは、AIの使い方の話であると同時に、自分の思考をどう扱うかという話でもあります。

まだ分からないことの方が多い

この経験は論文(Iino, 2026)として国際学術誌に掲載されました。でも、正直なところ、これで何かが解明されたとは思っていません。なぜこの使い方が機能するのか、どういう条件の時に機能しないのか、他の人にも同様に機能するのか。分からないことの方がまだ多い。

だからこそ、IIIという研究機関を作り、実証研究を続けています。

もし「自分もそういう使い方をしてみたい」と思った方がいれば、ぜひ一度試してみてください。答えを求めるのではなく、自分の中にあるものを話す。パフォーマンス分析のつもりで始めたら、いつの間にか別の対話になっていた——私の経験がそうだったように、入口はどこでも構わないと思います。

SOPHOLA株式会社
創業者&代表取締役
飯野 正紀

関連リンク
・論文全文(オープンアクセス):https://rdcu.be/fjWNu
・一般社団法人統合知能研究所(III):integrative-intelligence.org

P.S.また一緒に山に行こうね。