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Amazon DSPとSponsored Productsの違いとは?成果を伸ばす広告主が両方を活用する理由

広告予算を増やしている。
キャンペーンの設定も大きく間違っていない。
入札も調整している。
それでも、思ったほど売上が伸びない。

このような状況になったとき、問題は必ずしもキャンペーンの設定にあるとは限りません。

本質的な課題は、Sponsored Productsを中心とした検索広告だけでは、リーチできるユーザー数に限界があるという点です。

Amazon広告でさらに成長していくためには、既に商品を探しているユーザーだけでなく、まだ検索行動を起こしていない潜在顧客にもアプローチする必要があります。

そこで重要になるのが、Amazon DSPです。

この記事では、Sponsored ProductsとAmazon DSPの違い、それぞれの役割、そしてなぜ成果を伸ばす広告主が両方を組み合わせて活用しているのかを解説します。


Sponsored Productsだけでは成長に限界がある

Sponsored ProductsやSponsored Brandsは、Amazon広告の中でも非常に重要な広告メニューです。

ユーザーがAmazon上で商品を検索し、その検索結果や商品詳細ページに広告が表示される。
興味関心が高いユーザーに対して広告を出せるため、購入につながりやすいのが特徴です。

たとえば、ユーザーが「プロテイン」「ワイヤレスイヤホン」「ベビーカー」などと検索したタイミングで、自社の商品を表示できます。

この仕組みは非常に効果的です。

しかし、ひとつ大きな制約があります。

それは、検索しているユーザーにしかアプローチできないという点です。

今日、その商品カテゴリーを積極的に検索しているユーザーの数には限りがあります。

一定以上のインプレッションシェアを獲得し、入札も十分に競争力があり、コンバージョン率も安定している場合、さらに広告費を増やしても売上が大きく伸びにくくなることがあります。

これは、広告運用が悪いからではありません。

検索広告というチャネル自体に、構造的な上限があるためです。


Amazon広告における「検索の天井」とは?

Amazon広告における「検索の天井」とは、検索広告だけで獲得できる需要の上限を指します。

Sponsored ProductsやSponsored Brandsは、すでに商品を探しているユーザーを獲得するには非常に有効です。

しかし、まだ検索していないユーザーには届きません。

広告費を増やせば、一時的に表示回数やクリック数は増えるかもしれません。
しかし、既に検索市場の多くを獲得している状態では、追加予算が新しい需要の創出につながらないケースがあります。

つまり、広告費を増やしても、同じ検索ユーザーの中で競争しているだけになるのです。

この状態では、CPCが上がり、ACOSが悪化しやすくなります。

さらに成長するためには、検索されるのを待つだけではなく、ユーザーが検索する前の段階でブランドや商品を認知してもらう必要があります。


Amazon DSPとは?

Amazon DSPは、Amazon内外の広告枠にディスプレイ広告や動画広告を配信できる広告プラットフォームです。

Sponsored Productsが「検索キーワード」を起点に広告を表示するのに対し、Amazon DSPは「オーディエンス」を起点に広告を配信します。

つまり、ユーザーが何を検索したかだけでなく、どのような購買行動をしているか、どの商品を閲覧したか、どのカテゴリーに興味を持っているかといったデータをもとにアプローチできます。

Amazon DSPで主に活用される施策は、以下の3つです。


1. リターゲティング:購入しなかったユーザーを再び呼び戻す

Amazon DSPの代表的な活用方法が、リターゲティングです。

たとえば、ユーザーが商品詳細ページを訪問したものの、購入せずに離脱したとします。

このユーザーは、すでに商品に興味を持っていた可能性が高いユーザーです。
つまり、購入意欲がまったくないユーザーではありません。

Sponsored Productsや自然検索経由で商品ページに来たユーザーに対して、DSPで再度広告を表示することで、購入検討を後押しできます。

ここで重要なのは、一度獲得したトラフィックを無駄にしないことです。

広告費をかけて商品ページに連れてきたにもかかわらず、そのまま離脱して終わりにしてしまうのは非常にもったいない状態です。

DSPを活用することで、離脱したユーザーに再接触し、購入につなげる可能性を高められます。


Sponsored Displayのリターゲティングとの違い

Sponsored Displayにもリターゲティング機能があります。

ただし、Amazon DSPとはリーチできる範囲が異なります。

Sponsored Displayは、主にAmazon内での配信が中心です。

一方、Amazon DSPはAmazon内だけでなく、外部サイトやアプリなど、Amazon外の広告枠にも配信できます。

つまり、ユーザーがAmazonを離れた後も、別のサイトやアプリ上で再び広告を表示できるのです。

また、DSPではオーディエンスの設定もより細かく行えます。

たとえば、以下のような条件で配信を調整できます。

  • 商品ページを閲覧したユーザー
  • 一定期間内に購入しなかったユーザー
  • 過去購入者
  • 特定カテゴリーに関心を持つユーザー
  • 類似した購買行動を持つユーザー

Sponsored DisplayとAmazon DSPは似ている部分もありますが、同じ役割の広告メニューではありません。

リーチの広さやオーディエンス設計の柔軟性という点で、DSPにはより高度な活用余地があります。


2. プロスペクティング:まだ自社商品を知らない新規顧客に届ける

Amazon DSPのもうひとつの重要な役割が、プロスペクティングです。

プロスペクティングとは、まだ自社商品を知らない新規顧客に対して広告を配信する施策です。

Sponsored Productsは、基本的にユーザーが検索した後に広告を表示します。

一方、DSPはユーザーが検索する前の段階で、商品やブランドを認知してもらうことができます。

たとえば、既存顧客と似た購買傾向を持つユーザーや、関連カテゴリーに興味を持っているユーザーに広告を配信できます。

これにより、今まで自社商品を知らなかった層にアプローチし、新しい需要を作ることができます。

もちろん、プロスペクティングはリターゲティングよりも成果が出るまでに時間がかかる傾向があります。

すぐに購入につながらない場合もありますし、効果測定も簡単ではありません。

しかし、検索広告だけでは届かないユーザーにアプローチできるため、中長期的な成長には非常に重要な施策です。


3. リテンション:過去購入者に再購入やクロスセルを促す

Amazon DSPは、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客へのアプローチにも活用できます。

たとえば、過去に商品を購入したユーザーに対して、再購入を促す広告を配信できます。

消耗品や定期的に買い替えが発生する商品では、リテンション施策が特に有効です。

また、過去購入者に対して関連商品を提案するクロスセルにも活用できます。

一度購入したユーザーは、すでにブランドや商品に一定の信頼を持っています。
そのため、完全な新規顧客よりも購入のハードルが低い傾向があります。

DSPを活用することで、単発の購入で終わらせず、顧客との接点を継続的に作ることができます。


なぜAmazon DSPは過小評価されやすいのか?

Amazon DSPは、効果が見えにくい広告メニューだと言われることがあります。

その理由のひとつが、ラストクリックアトリビューションです。

ラストクリックアトリビューションでは、購入直前にクリックされた広告に成果が紐づきます。

たとえば、次のような購買行動があったとします。

  1. ユーザーが火曜日にDSPのディスプレイ広告を見る
  2. 木曜日にAmazonでブランド名や商品名を検索する
  3. 金曜日にSponsored Products広告をクリックして購入する

この場合、成果はSponsored Productsに紐づきます。

DSPは、購入前にユーザーの認知や興味を高める役割を果たしていたにもかかわらず、ラストクリックだけを見ると成果がなかったように見えてしまいます。

しかし、実際にはDSPがユーザーを購買ファネルに引き込み、その後の検索行動や購入につながっていた可能性があります。

つまり、DSPの価値はラストクリックだけでは正しく評価できません。


DSPの評価にROASだけを見るのは危険

多くの広告主は、DSPの成果をROASで判断しようとします。

しかし、DSPをROASだけで評価するのは適切ではありません。

なぜなら、ROASは広告経由として計測された売上だけを見ているからです。

DSPの役割は、必ずしもその場でクリックされ、すぐに購入されることだけではありません。

DSPは、ブランド認知を高めたり、後日の検索行動を促したり、自然検索やSponsored Products経由の購入を後押ししたりします。

そのため、DSPの効果は他のチャネルに分散して現れることがあります。

ROASだけを見ると、DSPが生み出した本当の価値を見落としてしまう可能性があります。

また、高いROASが出ていたとしても、それが本当に新しい売上を生み出した結果なのか、それとももともと購入する予定だったユーザーの成果を取っているだけなのかは分かりません。

重要なのは、チャネル単体のROASではなく、ビジネス全体で売上と広告費のバランスが改善しているかを見ることです。


DSPを評価するならTACOSを見るべき

Amazon DSPの成果を評価するうえで重要なのが、TACOSです。

TACOSとは、Total Advertising Cost of Saleの略で、広告費を総売上に対してどれくらい使っているかを示す指標です。

ACOSが広告経由売上に対する広告費の割合を見る指標であるのに対し、TACOSは広告売上だけでなく、自然売上も含めた総売上を基準にします。

DSPが新しいユーザーを獲得し、そのユーザーが後日検索広告や自然検索経由で購入した場合、チャネル単体のROASには反映されにくいことがあります。

しかし、総売上が伸びていれば、TACOSにはその変化が反映されます。

DSPを導入した後に見るべきポイントは、以下の2つです。

  • 総売上が増えているか
  • TACOSが大きく悪化していないか

もしDSP導入後に総売上が伸び、TACOSがほぼ同水準で維持されているのであれば、それは単なる成果の付け替えではなく、追加的な成長が生まれている可能性があります。


AMCで購買経路をより正確に把握する

DSPの効果をより正確に理解するためには、Amazon Marketing Cloud、いわゆるAMCの活用が重要です。

AMCは、Sponsored Ads、DSP、Amazonのリテールデータを組み合わせて分析できる環境です。

個人を特定するのではなく、匿名化されたデータをもとに、購入に至るまでの接点を統計的に分析できます。

AMCを活用すると、たとえば以下のようなことを把握できます。

  • DSP広告に接触したユーザーのうち、後日検索広告経由で購入した割合
  • 購入までにどのくらいの期間がかかったか
  • どのオーディエンスが最も購入につながりやすいか
  • Search広告とDSPがどのように連動しているか
  • どこに広告予算を再配分すべきか

これにより、ラストクリックだけでは見えなかったDSPの貢献を可視化できます。

ただし、AMCを使いこなすにはSQLの知識が必要になるため、多くの広告主にとってはハードルが高いのも事実です。

そのため、m19 Proでは、SQLを書かなくてもAMCのインサイトを確認できるように設計されています。


Amazon DSPの実績:データから見える効果

m19では、DSP自動化を利用している168の広告主を対象に、DSP導入前60日間と導入後60日間のパフォーマンスを比較しました。

その結果、中央値では総売上が8%増加し、TACOSの上昇はわずか1ポイントにとどまりました。

また、全体では売上が30%増加し、TACOSの上昇は2ポイントでした。

売上が伸びているにもかかわらず、売上に対する広告費の比率が大きく悪化していない。

これは、DSPが追加的な成長を生み出している可能性を示しています。

もちろん、DSPの成果はカテゴリー、競争環境、クリエイティブ、オーディエンス戦略によって変わります。

しかし、成熟した検索広告アカウントにDSPを追加した広告主が、検索広告だけでは得られなかった成長を実現しているという傾向は明確です。


Sponsored ProductsとAmazon DSPは競合するものではない

Sponsored ProductsとAmazon DSPは、どちらか一方を選ぶものではありません。

それぞれ役割が異なります。

Sponsored Productsは、すでに検索しているユーザーを獲得する広告です。
Amazon DSPは、まだ検索していないユーザーに接触し、新しい需要を作る広告です。
AMCは、それぞれの広告接点がどのように購入につながっているかを分析するための仕組みです。

つまり、この3つは別々に動く施策ではなく、ひとつの流れとして考えるべきです。

DSPで新しいユーザーに接触する。
そのユーザーがAmazonで検索する。
Sponsored Productsで購入を獲得する。
AMCでその購買経路を分析し、次の広告配分に活かす。

このように、DSP、Sponsored Products、AMCを組み合わせることで、検索広告だけでは到達できない成長を狙うことができます。


まとめ:検索広告の限界を超えるにはDSPの活用が必要

Amazon広告で成果を伸ばすうえで、Sponsored Productsは非常に重要です。

しかし、検索広告だけに依存していると、いずれ成長の天井にぶつかります。

検索しているユーザーの数には限りがあり、その中でどれだけ入札を強化しても、新しい需要そのものを作ることはできません。

さらに成長するためには、ユーザーが検索する前の段階でブランドや商品を認知してもらう必要があります。

その役割を担うのがAmazon DSPです。

DSPは、リターゲティング、プロスペクティング、リテンションを通じて、検索広告だけでは届かないユーザーにアプローチできます。

そして、その成果を正しく評価するためには、ROASだけでなくTACOSやAMCを活用することが重要です。

Sponsored Productsは既存需要を獲得する。
Amazon DSPは新しい需要を作る。
AMCは実際に何が成果につながったのかを可視化する。

この3つを組み合わせることで、Amazon広告は単なるキャンペーン運用から、より戦略的な成長施策へと進化します。

検索広告だけで伸び悩んでいる場合、問題は入札やキーワードだけではないかもしれません。

それは、検索広告というチャネルの構造的な限界かもしれません。

その限界を超えるために、Amazon DSPの活用は非常に有効な選択肢となります。

SOPHOLA株式会社
執行役員
飯野 芳里