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SOPHOLAのVision(目指す世界観)、Mission(果たす役割)、Values(大切にする価値観)を体現する取り組み・アイデアを発信。
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日本と欧米のWeb広告運用代行費用事情

SOPHOLAは色々な強みを持つ海外マーケティングテクノロジーを取り扱っていますが、毎回日本国内に導入する際に試行錯誤するのが「ツール(テクノロジー)利用料の設定」です。現在は、海外の実際の料金表を参考にしながら、「どのような課金方法、金額感が適正なのか?」を国内の広告代理店/販売代理店や広告主に実際に利用してもらって、ご意見をもらうようにしています。

そんな中、最近「広告費月100万円、広告運用代行費月100万円払っているのですが、それって普通なんですか?(※数字は架空)」という質問をある経営者の方から頂きました。意外にWeb広告運用代行費の課金方法や相場が知られていないのかなぁと結構ビックリしましたね。そういうわけで今日は「日本と欧米のWeb広告運用代行費用事情」について綴ってみようと思います。Web広告を利用されている広告主や代行されている広告代理店の方々にとって少しでもご参考になれば嬉しいです。

1.日本
Web広告運用代行費の課金方法と相場は、広告費の20%になります。広告費が大きければ、広告費の10-15%となったり、5%を切る場合も多々あります。私がこのデジタルマーケティング業界に入って10年間、なんならその前からこの課金方法と相場は変わってません。ただ、この課金方法と相場について見直しが必要になってくる大きな変化がこの数年で起こっています。

その変化とは、機械学習技術やデータ処理速度などの向上による「自動最適化」の普及です。例えば、私がアイレップにいた頃(2013-2015年)は、まだ広告の入札調整、予算配分、キーワード・広告文の変更などを手動でやっていました。広告運用知識・経験豊富なストラテジスト(広告運用者)が職人のような高い専門性を持って、日々の広告運用や顧客レポーティングを行っていたのです。この時も広告費の20%が運用代行費用の場合、月広告費100万円だったら月20万円、月広告費1,000万円だったら月200万円の運用代行費になりますが、それぞれ費用の半分くらいの時間の掛け方をしていた気がします。(勿論、大型案件になればなるほど、経験値の高いコンサルタント、ストラテジストが担当していました)しかし、Google広告の「自動最適化(入札)」機能やその他のツールの機能により80%くらいの日常業務が自動最適化され、「広告費の20%って、広告代理店/運用代行者は日々何してくれてるの?」という考えを持つ広告主も増えてきたのです。

これに対応するために、
・広告主サイド:自身で広告運用できる体制を構築する(「広告運用のインハウス化」と業界では言います)
・広告代理店サイド:更なる付加価値提供(Web広告領域に加え事業戦略立案、Webマーケ全般サポートなど)やその他の課金体系や相場の提示をするようになっています。私は、250年くらい前にイギリスで産業革命が起こった時に働き方などが変わったように、Web広告についても非常に大きな変化の時を迎えていると感じています。
※クリック課金型のWeb広告について上記は記載しており、成果報酬型広告(アフィリエイト広告)などは対象としていないことをご承知おきください。

2.欧米
「欧米ではどのようなWeb広告運用代行費の課金方法や相場になっているのか?」
と疑問が湧いたので調べてみました。一昔前までは、Web広告運用代行費の課金方法と相場は、広告費の15%(参照:NEW YORK TIMES, THE MEDIA BUSINESS: ADVERTISING; New methods of agency payments drive a stake through the heart of the old 15% commission.だったそうです。最近は、先述した流れを受け、以下の3つのWeb広告運用代行費の課金方法もよく使われているそうです。
A.時間(工数)ベース
日々の運用、レポーティング、施策提案・実行などでかかる時間(工数)を計算して、費用計算するやり方。ただ、この課金方法だと効率的に素早く進める動機が薄れるという欠点があるそうです。
B.プロジェクトベース
広告運用をプロジェクトとして捉えて必要な各サービスの金額を足していき、費用計算するやり方。この場合、想定以上に時間を要するサービス項目が途中で発生すると広告代理店側にとってリスクとなる可能性があるようです。
C.パフォーマンスベース
現在主流になりつつある課金方法で、計測システム上の売上や利益、LTVなどに対して費用計算するやり方。広告主のKGIやKPIと広告運用代行費の課金方法が一致するので、多くの広告主にとっては理想的な費用計算方法と考えられているそうです。個人的には概ね合意できるものの、市況、広告主のマーケティング活動などの外部要因に影響を大きく受けるため、設定の仕方が難しい側面があるかと思います。

勿論、広告費ベースの課金体系が欠点がないわけではありません。広告費が増えれば、広告運用代行費も増えていくわけですが、多くの広告主にとっては「広告費を増やすことがゴールではなく、出来るだけ少ない広告費で売上や利益を増やすことがゴール」なので、広告代理店と広告主の大切にしている指標にズレがあるからです。したがって、新しい変化に対応する上で、どのような広告運用代行費の課金体系や料金が相応しいかをキチンと事前に擦り合わせていくことが今後ますます重要になってくるなぁ、と。これは弊社のサービスでも同様で、広告費ベースのサービスも勿論あるのでベンダーさんと議論しながら、それぞれのお客様によりご納得いただけるものを提示できるように工夫していきたいと考えています!

SOPHOLA株式会社
創業者兼代表取締役
飯野 正紀
追伸:家族で牛を見に行きました。笑