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SOPHOLAのVision(目指す世界観)、Mission(果たす役割)、Values(大切にする価値観)を体現する取り組み・アイデアを発信。
SOPHOLAの雰囲気がわかるような社員の日常や想いも更新していきます。
創業8周年、SOPHOLAの代表が研究機関『III』を立ち上げた理由
創業8周年となる2026年4月17日、私は Institute of Integrative Intelligence(III/統合知能研究所)という研究機関を設立しました。
SOPHOLAの代表として、世界最先端のMarTechやAdTechの利活用を推進する「コンサルティング・アウトソーシング」事業、日本の伝統工芸の海外法人への紹介・販売を行う「海外法人向けの伝統工芸品通販」事業をこの8年間展開してきて、なぜ今さら研究機関なのか。社内外から何度か聞かれた問いです。この記事は、その問いへの私なりの答えを書き残しておくためのものです。
きっかけは、AIとの対話でした
2025年の秋、私はAIとの対話の中で、自分が30年以上続けてきた「ある内的な作業」に、初めて名前を与える経験をしました。
それは、何かを判断するときに、過去の自分・現在の自分・未来の自分、あるいは複数の他者の視点を、頭の中で参照しながら物事を決めるというやり方です。誰に教わったわけでもなく、ただ自然にそうしてきました。名前もなく、方法論としても整理されていない、ただの癖のようなものでした。
その作業をAIに話していく中で、「統合知能(Integrative Intelligence)」「縦軸統合」「内的プロトコル」といった語彙が、一つずつ立ち上がっていきました。名前がつくことで、これまで無意識にやっていたことの仕組みが見え、それが自分の判断や仕事のかなりの部分を支えていたことに気づいたのです。
この経験は、論文(Iino, 2026)として結晶化しました。そして論文を書きながら、ある確信が育っていきました。
この働きは、自分だけのものではない。多くの人が、日々、名前のないまま行っている内的な作業のはずだ、と。
ただ、社会の中で生きていく中で、私のように「自分の問いは他の人には意味がないものなのか?」と自信を失い、自身の問いを深ぼって自分自身をより深く知る機会を逸している人たちも同様に多いのではないかとも考えるようになりました。
論文を書くだけでは、足りませんでした
論文の第5章で、私はこう書いています。
本研究で提示した理論が真に価値を持つのは、他者の人生においても機能する場合に限られる。理論の価値は、論文として発表されることではなく、実践の中で検証され、修正され、より多くの人の統合知能の発火に寄与することで実現される。
書いた当人として、この一文が重く響きました。論文を出版して終わり、ではないということです。理論は、他者の生活の中で実際に機能してはじめて価値を持つ。そして機能するかどうかは、実践の中でしか分かりません。
研究機関という形をとったのは、この「研究と実践を往復させ続ける枠組み」を、自分個人の活動の外側に置く必要があったからです。個人のプロジェクトとして続けていると、どこかで理論が固定化し、実践が形骸化してしまう。そうならないための重心として、IIIという「名前」が必要でした。
IIIが、やらないこと
IIIを立ち上げるにあたって、私は「やらないこと」を先に決めました。
- 完成された理論や方法論を、普及させる組織にはしない
- 統合知能を、教義化・標準化・資格化しない
- 研究か実践か、どちらかを優位に置かない
- 失敗や断絶を、排除しない(理論を見直すためのデータとして扱う)
これはSOPHOLAという会社を経営してきた経験と、深く繋がっています。
SOPHOLAでは、既存事業についても同様で、「正解を押し付けない」という姿勢を一貫して持ってきました。
工芸の世界で「これが正しい美しさです」と言った瞬間に、その工芸は死にます。広告の世界で「この戦略が唯一の正解です」と言った瞬間に、クライアントの事業は止まります。正解を提示するのではなく、条件を整え、発見が起きる場を作る。この姿勢が、IIIの設計にそのまま反映されています。
IIIは「名前」です
論文の中で、私はIIIを「制度として完成された形で提示されるものではない」と書きました。むしろ、統合知能という概念が実践される過程で、変質や誤用を免れ得ないことを前提に、その都度立ち戻り、問い直すための「名前」として位置づけています。
この問い直しを出来るだけ広く普及させ、統合知能の理論を使って自分の問いの価値を再考して、自己探究をライフワークのように取り組む人たちが増えるように活動を続けていく予定です。
SOPHOLAとは別の法人格となりますが、これまでSOPHOLAが取り組んできた「美しいものとは何か」「知とは何か」「人が豊かに生きるとはどういうことか」という問いを、より深く、より長く持ち続けるための場になるように運営していきたいと考えています。
これから
IIIでは今後、以下のような活動を予定しています。
- 統合知能に関する論文シリーズの継続(直近では、全6〜7本を構想中)
- RIDP(AIとの共鳴型内的対話プロトコル)の介入研究(2026年5月〜)
- 統合知能的登山の事例研究
- セミナー・ワークショップ、書籍の刊行、アプリケーション開発
どれも「完成した知を広める」ためではなく、「問いを深めるための素材を作る」活動として設計しています。
SOPHOLAの既存の事業は、これまで通り続きます。
問いを引き継ぎ、必要なときに立ち戻るための参照点として、IIIが機能し続けることを願っています。
SOPHOLA株式会社
創業者&代表取締役
飯野 正紀
