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「双方の正義」がぶつかる時——双六小屋のモバイルバッテリー禁止から学ぶこと
今回は、双六小屋のモバイルバッテリー持ち込み禁止をきっかけに、サービス提供における「双方の正義」について考えてみたいと思います。
双六小屋は、双六岳と樅沢岳の鞍部にあり、黒部五郎岳や雲の平方面への拠点として登山者に非常に人気がある山小屋です。その小屋が先日、ホームページで次のような発表をし、登山者の間で大きな反響を呼んでいます。
「モバイルバッテリーは爆発火災の危険性が非常に高いため、双六小屋グループ4つの山小屋では小屋内へのモバイルバッテリーの持ち込みを禁止とさせて頂きます。消防署等による消火活動等が困難な特殊環境下ですので、ご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。」
なぜ反響を呼んだのか?
理由はシンプルです。長野県警などは、山岳地帯での携帯電話のバッテリー消耗による遭難リスクを避けるため(GPSや地図アプリの利用、救助要請など)、モバイルバッテリーの携行を強く推奨しています。しかし小屋側は安全上の理由から持ち込みを禁止する——つまり「安全のために必携」と「安全のために禁止」という、双方の正義がぶつかってしまったのです。
何が足りなかったのか?
おそらく小屋側も、爆発火災のリスクと消火活動の困難さという切実な懸念を抱えていたはずです。一方で登山者や県警には、遭難防止という別の切実な懸念がある。どちらも「安全」を守りたいという点では同じです。
ここで必要だったのは、発表前に関係者とのコミュニケーションを十分に取り、双方の懸念をどう両立できるかを一緒に考えることだったのではないでしょうか。例えば「防水バッグを個々に用意してもらい、小屋の外の特定敷地内に保管する」といった代替案を提示できていれば、反応は大きく変わっていたかもしれません。
我が身を振り返ると?
この問題を読んでいて、正直少しドキッとしました。登山をする自分としては「モバイルバッテリーなしで山に入るなんて考えられない」と思う一方で、サービスを提供する立場としては「消火活動が困難な特殊環境下で、一度火災が起きたら取り返しがつかない」という判断も痛いほどわかる。双六小屋を批判する前に、自分たちは一方通行になっていないか?そう振り返る必要があると感じました。
例えば私たちは現在、「サービス利用者からのメールでのご質問には、最大2営業日をいただく」という運用をしています。サービス利用者の増加により、限られたリソースで全ての質問に即レスすることが困難になり、担当スタッフに過度な負荷がかかるようになったためです。一方で、利用者の方からすれば、問題の大小に関わらず即座に回答があった方が助かるのは当然ですよね。
ここでも「双方の正義」が存在しています。そこで私たちは、
- どのような問題を即レス対応するか(例:サービス利用が困難な緊急度の高いバグへの対応)
- どのような問題を最大2営業日いただくか(例:マニュアルに記載のある緊急度の低い質問)
- AIチャットボットやマニュアルの利用を定期的にリマインドする
といった形で、背景を説明しながら対応の基準を明示することを心がけています。
おわりに
今回の双六小屋の件は、サービス提供者・受け取る側の双方に正義がある問題です。山小屋に限らず、あらゆるサービスの現場で起こりうることだと感じました。自分たちは一方的になっていないか?双方の懸念を両立する方法を探れているか?そう自問自答するきっかけになればと思い、今回この話題を取り上げてみました。
SOPHOLA株式会社
創業者兼代表取締役
飯野 正紀
追伸:今年は裏銀座で槍ヶ岳に登頂する前に、双六小屋に泊まりたいと思ってました。笑
